代表取締役の自己紹介と政治・経済・経営についての考え方(21)

query_builder 2024/03/03

おはようございます。

今回からは、企業経営の一端(いったん)について思うところを述べます。

企業は誰のためのものか、という事が、よく言われます。経営学、経済学の純理論的な側面から言うと、それは「株主」だということに、この資本主義社会では、なるのが一般的です。しかし、会社のステークホルダー(関係者)は何かというと、会社の関係先は多岐(たき)にわたります。顧客とか、取引先とか、いろいろありますが、その中に、現在の経営者が忘れやすいのは、「従業員」です。

会社で、経営者の皆さんは、日頃、人材教育に力を注(そそ)がれているでしょう。勤勉で、できれば有能な人材(「人財」と言ってもいいかもしれませんが。)をできるだけ集めて、社員を督励(ちくれい)し、教育し、仕事をしてもらい、業績を上げ、会社を発展させていきたいと思ってらっしゃることでしょう。事業家の松下幸之助氏は、「我が社は何を作っているか」ということを問われたら、「我が社は物ではなく人を作っている会社だ」と答えなさいと、常々、社員におっしゃていたそうです。それだけの意識、見識を持たれて経営に当たられ、一介の「町工場」から、世界に冠たる松下電器産業(現パナソニック)に育て上げられました。それだけ、会社の業務を支える従業員については、真摯に考えていたのが、いわゆる「日本的経営」でした。

戦後、日本経済の急成長により、日本的経営は世界の注目を浴び、世界第2の経済大国にまで成長した時には、日本全体が、活気に満ちあふれていました。欧米流の、四半期ごとの決算成績を重視し、短期的な観点から利益向上を求めていく経営ではなくて、より長期的な視野に立って経営していたものでした。

日本社会も、従業員は、いわゆる「終身雇用」、「年功序列」のような感じで、会社に自(みずか)らとその家族の人生を預けていたものです。そして「モーレツ社員」として働き、テレビのCMでも「24時間、戦えますか」のようなフレーズが満ち溢(あふ)れていました。いわゆる「会社人生」が、自らや、その家族の幸福に直結していました。

エネルギーなどの鉱物資源の乏(とぼ)しい日本にあるのは、ともかく「人」でありました。日本人が、古来、持っていた「勤勉性」「正直さ」「誠実さ」などは、戦後の経済成長の原動力でした。そして、日本は、いわゆる「バブル経済」の黄金期を迎え、いずれは、米国をも超える存在になるのではないかと、世界が思い、ある意味では警戒されつつも、日本人、皆が、心、踊(おど)らせていたものでした。しかし、「好事(こうじ)、魔(ま)多し」。そこからです。ある要因によって、「バブル」がはじけ、日本は、「失われた30年間」に突入します。

直接的な要因は、政府が突然打ち出した、不動産融資の「総量規制」でした。バブル経済のソフトランディングを図る政策ではありませんでした、また、ともかくも世界的な「グローバリズム」の波が日本にも押し寄せるとともに、バブルがはじけたことにより、日本企業は、「不良債権」が山のように積み重なり、その解消が喫緊の課題になり、いわゆる「新自由主義」による巷(ちまた)言うところの「構造改革」と呼ばれる時代に入ります。

そこで、とかく、従来の日本的経営では、これからは、もうやっていけないから、できるだけ欧米流の資本主義的な手法を取り入れていこうということで、従来の経済、社会の慣行を変えていきました。日本経済の強みであった、「人」「調和」「長期的観点」を重視する経営から、とかく短期的な「収益」「効率性」を重視する経営に変容していったのです。この話、次回に続けます。

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