こんばんは。
今回は、マルクス主義の概念の話しをします。
政治上の概念として、「共産主義」は「自由主義」に対するものですが、別に「社会主義」という言う言い方もあります。これは、主として経済上の概念で、「資本主義」に対するものです。社会主義は別名「計画経済」であり、資本主義は「市場経済」です。
以前の別のシリーズの中で触れたことがありますが、戦後日本は、世界で最も成功した社会主義の国とも言われます。これは、そう言われると、日本は資本主義の国ではないのかと、驚かれるかもしれません。
日本の同盟国である米国は、典型的な資本主義の国です。かの国では、医療保険制度すら、社会主義的政策だと、忌避感(きひかん)を持たれています。一方、日本は、「皆年金」、「皆保険」の社会制度であり、経済運営も、戦後からしばらくは、いわゆる「護送船団方式」で、国家としての一つの運営の下で、経済力の成長を図ってきました。
それが、戦後日本流の社会の運営でした。それは、国際社会のグローバル化の下で、これからはやっていけないということで、いわゆる「新自由主義」による「構造改革」が行われ、日本の社会構造は変化していきます。企業内においても、「正規雇用」と「非正規雇用」の両者が、混在するようになりました。雇用のしわ寄せは、非正規雇用の増減で図られます。つまり、景気の如何によって、雇用の調整は、企業の経営上、自由度が増したわけです。
これは、労働者の側から見て、どうでしょうか。実を言うと、非正規雇用というと、身分が不安定なものであり、嫌がられるかというと、必ずしも、そうではないのです。むしろ、学生や、主婦・主夫、高齢者、フリーターなどにとっては、その方が好まれます。自由な、労働市場の方が、ありがたい面があります。
戦後日本では、いわゆる「終身雇用」、「年功序列」の面の傾向が強く、いわば「会社」に自分の人生を預(あず)けて、人生設計を考えてきました。できるだけ「正規雇用」が中心でした。若いうちは、「安月給」で、ハードな労働をする分、ある程度、高齢になると、それなりのポストが用意され、労働量に対して割高な賃金が貰(もら)えます。それで、「親会社」に「定年」まで勤めて、後は、しばらくの「再雇用」期間を経てから、「年金生活」に入るというパターンです。
これが、主体だったのですが、ともかく、「新自由主義者」には、気に入らない。「能力主義」というと聞こえはいいのですが、とかく、従前の制度は、経済の新陳代謝(しんちんたいしゃ)を妨げる、雇用の「流動化」が損なわれるということで、「成果」を重視した働き方を求められるようになりました。
これは、良いのか、悪いのか、不分明(ふぶんめい)な面があります。「個人主義」の米国に対して、「集団主義」の日本。それを、欧米流に塗(ぬ)り替(か)えようとしたのが、構造改革でした。前述したように、人によって、働き方の「好(この)み」があります。ですから、この構造改革の評価は慎重にしなければいけません。「善悪」両面があるでしょう。これも、「世の常(つね)」です。
ただ、今の日本社会が、とかく「弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)」型になり、何かと「摩擦(まさつ)」が生じ、「ギスギス感」が増しているという面があるのは、否定できないでしょう。一面的に、「平等」を唱(とな)えるのにも問題がありますが、あまり「競争」を主導(しゅどう)するのも問題でしょう。
それこそ、日本社会が構造的に変化し、日本人は、それに、適応せざるを得ません。そうした、現状をどう捉(ちら)えるべきなのか、考えさせられるところです。そういう社会情勢の中で、では、日本人の「働き方」はどうすべきなのかは、次回に言及します。
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