おはようございます。
今回も「経営」の話を続けます。
先に述べた稲盛和夫氏は、20代で、前の会社を辞め、現在の会社を企業したのですが、当初は、「自らの高度な技術を世に問う」という高い理念を掲げておりました。起業後、2年ほど立ってから、若手の社員から、自分たちの生活向上を訴える請願があり、毎日幾晩も、話し合ったそうです。その結果、稲盛氏は会社の理念を「社員の物心両面の幸福の向上を図る」ということに変更されました。これは、稲盛氏が、妥協して、自らの信念を曲げたのでしょうか。
また、自動車用品の販売を手がける会社を創業された鍵山秀三郎氏という経営者がおられます。前職の会社が社長の私物化されていることに義憤を発し、自ら自転車の行商からはじめられた方です。鍵山氏を知る人には、「掃除道」で有名な方です。鍵山氏は、会社を起こしてから、「トイレ掃除」の自らの実践から始められたそうです。その当時、社員からは、「うちの社長はトイレ掃除しかできない」とか、経営コンサルタントからは「あなたは掃除ばかりしていて社長に向いてないですよ」とか、散々(さんざん)に言われたそうです。これは、鍵山氏は、掃除しかできない無能な人だったのでしょうか(注:「掃除」というのは本格的にすると、かなり大変な仕事です。)。。
結果は、明らかです。稲盛氏は、物故(ぶっこ)されましたが(享年90歳)、鍵山氏は、まだ、ご健在のようです。両氏の創業された会社は、その業界のリーディングカンパニーとして、今も隆々と繁栄されています。ここで、私が何を言いたいかというと、起業する、仕事をする、ということは、単に、金を儲けたいとか、社会的評価を受けたいとか、いろいろ、そういう動機があっても、それはそれでいいのですが、それだけでは、「必要十分条件」にはならないということです。両氏には、「自らの理想とする企業を作りたい」という強い信念がありました。これは、「経営者」だけに求められるものでは、ありません。
札幌農学校の創設者であったか、クラーク博士という方がいました。「少年よ、大志を抱け」との言葉で有名な方です。世間では、このフレースだけが強調され、若者は、大きな野望を持って、金儲けをしようとか、尊敬されようとか、という風に受け止められています。しかし、実は、この言葉には、後半部分があるのです。もちろんそれもいいでしょう。それらのために努力するのは、大いにいいことです。ただ、クラーク氏は続けます。それらのみならず、より高い倫理観のための野望をもたなければならない、と。具体的なフレーズは省略しますが、いわゆる「現世的利益」のみならず「高い理念」のための志を持たなければいけないのです。「高い理念」とは、決して、高尚(こうしょう)なものということでは、ありません。
東洋思想で、よくいわれることに、「義は利の本」「利は義の和」があります。いつかもブログで言及したように、私たち人間は「霞(かすみ)」を食って生きているわけではありません、「水」だけを飲んで生きていけとは言えません。時には「プチ贅沢(ぜいたく)」もしたいし、できれば裕福(ゆうふく)な暮らしがしたいでしょう。しかし、そのために「利」だけを求めても、結果は出ないのです。「利」に至る「プロセス」が大事なのです。
民間企業には、売上を上げて、経費を抑え、利潤を高める、という大きな仕事があります。ただ、それを、それぞれの「道」に外れたことをして、追求しても、結局は頓挫(とんざ)します。その結果、社員は、路頭(ろとう)に迷ってしまいます。そこで、経営者は、いかなる理念を持って「経営」するかが大変、大事なのです。「利」と「義」の、ちょうどいいバランスを取ることが求められるのです。この話、また、次回に続けます。
バーチュー・クリエイティング株式会社
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