日本の「国防論」あれこれ(5)

query_builder 2024/03/29

おはようございます。

今回は「集団的自衛権」と「集団安全保障」の違いについて説明します。

集団的自衛権は、個別の国家が、同盟関係などを結んで、その国が、他国から武力攻撃を受けた場合に、それが自国にとって死活的な国益の侵害に当たる場合、武力の行使を伴う、当該国の防衛を支援する行動を行う権利です。国際法上、国家は、国家固有の権利として、個別的自衛権と並んで、この権利を保有しています。典型的な例としては、北大西洋条約機構(NATO)や、今はありませんが、それに対峙(たいじ)していたワルシャワア条約機構などがあります。

一方、集団安全保障とは、国際社会において、複数の多くの国が一段の集合体を構成し、その中の、例えば一国が、そのグループ内にあるある国から武力攻撃を受けた場合に、一種の「制裁」として、グループ内の構成国が、集団で、その国による武力攻撃を排除し、被攻撃国を支援する、武力の行使を含む行動をとることを言います。例えば、第2次世界大戦前ですと国際連盟、戦後ですと国際連合などが、これに当たります。

この両者は、似たような用語なので混同されやすいのですが、別種なものであることをご理解下さい。

さて、集団安全保障の方ですが、国際連合の現状などを見ると、個別的事案の戦争に至るような国際紛争が生じた場合、有効に機能はしていないですね。国連の安全保障理事会には5つの常任理事国があり、それらの国が1国でも反対した場合、国連は軍事的対応策を採ることはできません。冷戦期には、米国とソ連が対立しておりました。それぞれ自国の国益に基づいて、頻繁(ひんぱん)に「拒否権」の行使を行っておりました。朝鮮戦争の時の国連軍の形成は、ソ連が安全保障理事会への参加を見合わせていた間隙(かんげき)をぬって実施できたものです。有効に機能していたのが、ソ連のゴルバチョフ政権の時代に、イラクのクウェート侵略に伴う湾岸戦争の際くらいが目立った例でしょうか。安保理決議に基づいて有志連合(ゆうしれんごう)で対応しました。9.11米国同時多発テロに伴うアフガニスタン戦争についても、安保理決議の是認的なものはありましたが、集団安全保障というよりは、NATOにしても集団的自衛権を持って対応していました。

このように、理念的な集団安全保障は、現実的には有効には機能していないですね。やはり、自国の防衛を図るには、様々な国が、同盟関係を結ぶなどをして、集団的自衛権の取り決めをして自国の防衛を図っているのが、現状です。日本が位置する北東アジアなどを例にとっても、米韓相互防衛条約、米比相互防衛条約、中朝友好協力援助条約、ロ朝友好善隣協力約など、それぞれ、対立関係を含みながら、多様な同盟関係を結んで、対抗しあってます。

さて、翻(ひるがえ)って日本を見ると、日本と米国は同盟関係にありますが、日米間の条約名は、「日米安全保障条約」です。先程挙げた国々の条約名は「相互防衛条約」などが多く、内容は相互防衛を定めています。すね。どうして、日米の条約だけ異なり「安全保障条約」なのでしょうか不思議(ふしぎ)に思われませんか。この点を、次回には、掘り下げてみたいと思います。

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