日本の「国防論」あれこれ(16)

query_builder 2024/04/11

おはようございます。

今回も、日本の「政軍関係」の話を続けます。

日本で、前回も述べたような「文民統制」が機能しているかについて、公式の説明は、次のようなものです。①自衛隊の最高指揮官は、内閣総理大臣であること、②防衛大臣以下の政務3役が自衛隊を管理監督していること、③憲法の「文民条項」で内閣総理大臣や政務3役は文民でなければならないこと。④自衛隊の組織や服務、行動権限などは国会の定めた法律の規定に基づかなければならないこと、⑤自衛隊の予算は、国会の議決によらなければならないこと。⑥自衛隊の活動は、国会の「国政調査権」の対象に成ること、⑦自衛隊を管轄する行政組織として、防衛省があり、その中では、文官と制服が対等の関係でいること、⑧制服のトップの人事は閣議の了解を得る必要があること、などです。

これは、主として、法制度上の「文民統制」の仕組みです。確かに、その制度は、整っています。政治と軍事の関係は、しっかり機能しているように見えます。ただし、これは、一つの建前論です。実際の政治と軍事の関係は、どうなのでしょうか。

戦後、いわゆる「再軍備」が始まり、自衛隊が発足して以降の「政軍関係」は、いわゆる「文官統制」でした。防衛省(当時は、防衛庁)内で、文官が制服をコントロールしていました。諸外国の国防機構を見ても、民主主義国家では、国防省のような機関においては、文官と制服がいます。しかし、日本と違って、文官と制服は対等の存在です。一方、日本では、政策や人事、予算のみならず、「運用」も文官が強く関与していました。

さすがに、運用まで、文官の統制下にあるのは問題が多いと言うことで、近年、防衛省内で文民統制の見直しが行われ、現在は、統合幕僚監部が担当しています。統合幕僚監部とは、以前は、統合幕僚会議と言われた「名目的」な組織体だったのですが、それを改組してできたもので、そこが運用全般を担当するようになりました。陸海空の各幕僚監部との関係も整理されています、

そして、最近は、統合幕僚長は、内閣総理大臣や防衛大臣の軍事的補佐、いわゆるアドバイザー役に専念し、有事の指揮官として「統合司令官」と言うポストを創設する動きもあります。既に、海空の自衛隊と同様に、近年、陸の自衛隊も「総隊」を創設していましたが、その、さらなる統合任務の運用体制の整備が進んでいます。前回も申し上げましたが、「有事に戦える」自衛隊への態勢整備が、こういった面でも進んでいるのです。

戦後、しばらくは、「文官統制」の側面が強かったのが事実で、日本の歴史的経緯や、特殊事情から、そういう仕組みになったいました。しかし、それは、特に「運用」まで、文官の統制におくという、いびつな関係でした。現在は、「運用」を一元化している「統合幕僚監部」は、文官と制服の混合組織になっています。文官が、どういう形で「運用」に関与するかは、政策的な観点からの関与になっています。

いずれにせよ、文官には文官の役割、制服には制服の役割があります。大事なのは、「文官統制」ではなく「文民統制」なのです。次回は、この真の意味での「文民統制」の話をしたいと思います。

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