日本の「国防論」あれこれ(19)

query_builder 2024/04/14

おはようございます。

今回は、日本国防の一つの将来の可能性についてのシミュレーションのような話をしてみたいと思います。

日本は米国の「同盟国」ですが、安全保障面では米国の存在に大きく異存していることは、これまでのブログで、時折、言及してきました。それを表して「保護国」であるとの表現を多用してきましたが、きつい言葉を使う論者たちは「属国」であるとも言います。安全保障の面での依存性の故に、日本は、米国に何でもいいなりであるというのです。

確かに、政治、外交、経済の面を見ても、日本は、大体、米国からの圧力に弱いです。むしろ、国内の諸改革を行うに当たっては、米国の外圧を、利用していることすらあります。国内の反対勢力を抑えるために、米国の要求だということを、逆に、推進材料にしているのです。

国防面では、どうでしょうか。第2次世界大戦後の日本の「再軍備」の歴史を見ても、ほとんど、米国との関係ですね。朝鮮戦争を契機とした、警察予備隊の発足、保安隊への改組、自衛隊の創設に至るまでの動きは、米国の主導で作った現行の日本国憲法の生み出した産物です。この憲法の範囲内で、日本の国防力の強化は進められて行きます。

先ずは、日本の国土防衛の作戦計画作り。それから、「周辺有事」の作戦計画、「国際平和協力(PKO))」の作戦計画と実施、「アフガニスタン戦争」への対応に当たり自衛隊の派遣、「イラク戦争」への対応にあたり戦後復興への自衛隊の派遣、「海賊対処」への自衛隊の派遣、有事法制の整備、平和安全保障法制の整備、武器輸出の方針の見直し、国家安全保障会議と国家安全保障局の設立、特定防衛秘密法の整備、などが、勧められてきました。

これら自体は、皆、憲法の範囲内の対応で、いわゆる「解釈改憲」の手法を使った場合もありましたが、概ね、日本を取り巻く国際環境の下で、採らざるを得なかった措置です。むしろ、大きな戦略があって、そこから演繹的(えんえきてき)に実施したというよりは、事態が変化し、何か事案が生じて、何らかの対応をする必要が生じて、やむを得ず、必要に迫られて、帰納法的(きのうほうてき)に、ある意味で、一種、泥縄的(どろなわてき)に、行ってきたという感が強いです。

しかし、これらの動きを批判する人々はいますが、そういう内容であったとしても、日本の国防力の強化自体は、着実に進展しています。戦後、間もなくからすると隔世(かくせい)の感があります。大きくは、日本は、軍事的には、米国の「保護国」であるかもしれません。

それでも、日米安全保障体制の下で、日本の安全は確保され、日本は経済大国の道を進むことができました。軍事的には、「軽武装」ですませ、ある意味で、逆に憲法を「錦(にしき)の御旗(みはた)}というか、理由にして、米国の国防力の強化、日本の軍事的な貢献の拡大の要求を、上手くかわし、抑制しようとしてきたという経緯があります。

日米安保体制が、どれだけ、日本のために役立っているか、日本を米国の「属国」だとの主張される方にも考えていただきたいと思います。この話、次回に繋げます。

----------------------------------------------------------------------

バーチュー・クリエイティング株式会社

住所:東京都渋谷区恵比寿1丁目19-19 恵比寿ビジネスタワー10F

電話番号:03-5708-5985

----------------------------------------------------------------------