おはようございます。
今回は、「武装中立」論について、考えていきます。
第2次世界大戦後に国内政治の場では、55年体制の下にありました。自由民主党の政権が常態でしたが、批判勢力としての日本社会等が野党第1党の勢力を占めていました。その社会党が、安全保障の党是(とうぜ)にしていたのが、「非武装中立論」です。日本は、軍事力を保有せず、国際関係の場では中立国の立場を取るというものです。もちろん、自衛隊は、違憲の存在ということで、日米安全保障体制も認めません。この考え方を支持する人が、結構、多かったのです。
世界には、「中立国」として、国際法上で認められた国がいくつかあります。具体的には、スイス、オーストリア、一時のラオスなどです。ここでは、スイスの例を取り上げましょう。
スイスは、「武装中立」の国です。徴兵制があり、国民皆兵です。「民間防衛」のモデル国としても、知られています。実は、中立国は「武装」するのが、国際法上の義務でもあるのです。何らかの国際紛争が生じて、武力衝突に発展したとします。スイスは、「永世中立」を国是としていますから、対立する、どちらにも組しません。ただ、自国が何らかの形で、一方の側に利用されることは避けなければなりません。それで、そういう事態になることを避けるために、その行為を排除するだけの軍事力が必要になるのです。それで、スイスは重武装をしています。自らの国防のみならず、中立の立場を維持するためにも、軍事力が必要なのです。
戦後、日本の国内政治において、「日本は東洋のスイスたれ」との主張もありました。もちろん、武装中立国たれ、ということでしょう。お気持ちは分かるにしても、当時の敗戦から占領に至る歴史的経緯や、日本を取り巻く北東アジアの地域情勢、世界的な冷戦の米ソ対立の枠組み、を考えると、どうしても無理がありますね。日本が、中立国であることが、是認される国際環境にありませんでした。国内には、満足な軍事力もありませんでした、武装中立は不可能でした。
ですから、先の「非武装中立論」は、殆(ほとん)ど概念の遊びみたいなもので、議論として成り立たないことは、分かっていただけるでしょう、一種の「夢」を見ているようなことです。この現実の国際社会においては、あの当時、日本の選択肢は、日米同盟しかなかったのです。講和独立して、先ずは、米国に全面的に国防を委任する。そして、次第に、日本の自衛力の整備を図っていく。日米安保条約を改定して、双務性をより高めていく。その中で、日米同盟の更なる深化と発展を図っていくしか、道はなかったのです。
非武装中立論は、ナンセンスな議論でしたから、一時の徒花(あだばな)みたいなものでしたが、より現実的な武装中立論も、理念としては理解できますが、実現は不可能でした。それが、国内外政治の現実であったのです。この話、次回に繋(つな)げて行きます。
バーチュー・クリエイティング株式会社
住所:東京都渋谷区恵比寿1丁目19-19 恵比寿ビジネスタワー10F
電話番号:03-5708-5985
NEW
-
16.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。今回は、新時代における「労働観」につ...15.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。今回は、「労働」の意味について、考え...14.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。今回は、「経済格差」の話しに言及しま...10.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。今回は、いわゆる「3K」労働についての...09.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。今回は、労働者の「働き方」について言...08.Nov.2024
-
現代社会における新「...こんばんは。今回は、マルクス主義の概念の話しをします。政...06.Nov.2024
-
現代社会における新「...おはようございます。マルクス主義の思想では、一つ、重要な...05.Nov.2024