日本の「国防論」あれこれ(28)

query_builder 2024/04/24

おはようございます。

今回は、防衛省職員(自衛隊員)に関する司法制度について言及します。

諸外国には、軍隊があり、軍法があって、軍人の非違行為(ひいこうい)を審議し処罰を下すための軍法会議というものがあります。いわゆる軍事司法制度です。通常裁判所から独立した制度です。これは、軍隊の特性上、軍事に関する専門的見地がないと、適正しい、的確な裁判が行われにくいことと、軍隊における処罰は、迅速に即決に近い形で行われる必要があるなどのためです。

一方、防衛省職員が法令に関する非違行為を行った場合は、通常裁判所で審理が行われ、判決が下されます。これは、憲法の規定により、特別裁判所の設置が禁じられているためです。このため、日本では、軍法会議はありません。そもそも、自衛隊は、国内法上は軍隊ではないのですから、当然と言えば、そうかもしれません。

自衛隊内で法令に違反する非違行為があった場合は、警務隊という組織が、捜査し、検察庁に送検します。警務隊が、一般社会での警察に相当する役割を果たします。諸外国には、憲兵(MP)という組織があり、軍隊内の秩序維持を図りますが、この制度を参考にしているのでしょう。

現在の日本では、自衛隊設置後の長い歴史の中で、すっかり定着している感のある制度です。自衛隊の方でも、特に、支障が、今まであったわけでもありません。基本的に平時でしたから、特段の問題は生じていません。また、自衛隊は、国内で活動することが、大部分の場合であるから、ということもあるでしょう。

今回のシリーズ(国防論)の初回において、現在、自衛隊内のハラスメント体質が表面化し、問題視されるようになりました、と言及しました。その是正のために、特別防衛監察が防衛監察本部により行われ、防衛省に対して是正措置を図る旨の勧告が行われていることも紹介しました。その後の状況を見ると、ハラスメント行為に対する処分は以前と比べると頻繁(ひんぱん)、厳正(げんせい)に行われているようです。

私は、これを「防衛処分」という、新たな概念で捉えています。何故なら、現行体制の下で、軍隊では無く、軍法会議も無い自衛隊が、部内規律を維持し、綱紀(こうき)の粛正(しゅくせい)を図るためには、これらの処分、つまり行政処分を適時適切に行う必要があり、軍法会議に代替するための措置の必要性を感じることです。別に、法制上、正式に位置づけて欲しいと思っているわけではありません。ただし、軍法会議に代わるものとしての「防衛処分」との意識を持たれて、担当部局は、その行使を確実に行っていくべきです。

何回も繰り返しているところですが、現在の国際環境の下で、いつ有事が起こるかもしれません。その自衛隊内部で、ハラスメントのような行為が行われ、職員がやる気を失うと、「有事に戦える」自衛隊に、なり得ません。よく社風と言いますが、自衛隊は、国防を担当とする「実力組織」です。その社風は、当然、厳正で厳しいものであるべきです。しかし、「業務上必要と認められる」範囲の指導と、ハラスメント行為は別物(べつもの)なのです。ハラスメントは、「優越的地位の濫用(らんよう)」とも定義されていますが、その境目(さかいめ)は厳ととしてあるのです。

こういう現下の状況の中で、防衛省自衛隊という組織は、ハラスメント体質の一掃(いっそう)を掲(かか)げるようになりました。組織の適正化に必要なことだと思います。そこで、この「防衛処分」を有効活用して、組織の引き締めを図るとともに、本当に団結することのできる集団に変えていきましょう。

法制度の整備、各種政策の推進、装備水準の向上とともに、人的な職場環境の改善を図って欲しいものです。それが、本当の意味での精強な自衛隊に繋(つな)がっていくのです。

----------------------------------------------------------------------

バーチュー・クリエイティング株式会社

住所:東京都渋谷区恵比寿1丁目19-19 恵比寿ビジネスタワー10F

電話番号:03-5708-5985

----------------------------------------------------------------------