2024年上半期セミナーの総括(その6)

query_builder 2024/06/04

おはようございます。

今回は、日本を取り巻く、現下の国際環境の話になります。

現在は、米国と中国が、激しい「覇権国」争いをしている最中です、

この対立は、米国のオバマ政権の後半期から始まりました。いわゆるAIIB銀行(アジアインフラ投資銀行)を巡る動きが発端です。この時、米国の反対にもかかわらず、米国の同盟国、友好国と目される諸国が、雪崩(なだれ)を打つように、資本出資をしました。この時以来、米国は、中国を明確にライバル視するようになりました。トランプ政権になりますと、その対立が鮮明(せんめい)になります。いわゆる「経済戦争」の始りです。中国からの輸入品に高額の関税を科すなど、貿易を制限するようになり、強い圧力をかけるようになりました。対中強硬姿勢を鮮明にしました。この動きは、バイデン政権においても変化なく、さらに対立は深まっています。

北東アジアにおいて懸念されるのは、主として台湾海峡と朝鮮半島を巡る動きです。特に、台湾については、米軍の高官が、米国議会で、度々(たびたび)、「台湾有事」の脅威について証言しております。いわく、「2027年までに、中国は台湾への侵攻能力を有する見込み」とよいうことです。中国も、台湾の「独立」の動きを、強く、牽制(けんせい)しています。武力を用いた統一の可能性を強く示唆しています。米国は、一方、台湾への肩入れを強めています。また、朝鮮半島においても、北朝鮮は、最近もミサイル発射実験を繰り返し行って、緊張感は高まっています。

南シナ海をめぐる海洋の領有権を巡る争いも活発化しています。中国の人工島建設を起因として、米国による「航行の自由」作戦が始まる一方、中国は「八段綿(はちだんめん)」を強調し、領有権主張を強化し、東南アジア諸国と「小競り合い」を続けています。

世界的には、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、中国はロシアの「後ろ盾」のような立ち位置にあります。また、中東においては、イスラエルにおいて紛争が勃発しました。イスラエルとハマスの紛争など、同地域における不安定化において、直接に関与しているのはイランですが、中国も、どちらかといえば暗黙の支持をしている感があります。

世界情勢、全体を概観して、困るのは、ウクライナ戦争、中東戦争に加えて、台湾戦争、朝鮮戦争が同時に生起することです。さすがに、米国にとって4正面作戦を採らされることは避けたいでしょう。問題の解決の方向性は、なかなか見えませんガ、懸命の外交努力がなされている現状です。

そのような中で、米国も、同盟国に対して、防衛努力の強化を求めています。既にNATOは、軍事費の増大を決定し、実行しています。フィンランド、スウェーデンの加盟も決まりました。ー方、日本も、防衛費の増額を決定しました。米国1国のみならず、同盟国、友好国の力を総結集して、事態の乗り切りを図ろうとしています。米国、英国、豪州の新同盟、米国、豪州、インド、日本の新協力関係の枠組みも作りました。また、インド太平洋地域における経済関係での連携の枠組みを構築しました。いわゆる、インド太平洋地域における、不測の事態への対処態勢を、米国と同盟国、友好国の間で構築してきているところです。

主たる目的は、対中抑止です。中国が、この地域で、「力による一方的な現状変更」を図る試みをすることを抑止することです。このような、世界、インド太平洋、北東アジアでの現状の国際環境の下で、日本はどういう立ち位置をとればいいのか。次回に話を繋(つな)げましょう。

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