おはようございます。
前回まで「治安」に関する個々のトピックを取り上げてきました。できるだけ、今日(こんにち)的な話題をするように、努めてきました。
今回は、第10回目の一区切りで、総論的な話をしたいと思います。
「治安の維持」というと、何か、強権的なイメージを持たれるかもしれません。一種の「弾圧」と言いますか、警察機関やスパイ機関が、個々の国民を監視して、政府批判は許さず、平和的な国民のデモ活動も取り締まり、私的な日常生活にも関与してくると言うような感じです。
確かに、世界各国を見渡してみると、そのような国柄の国家もあります。戦後の日本社会を回顧しても、いわゆる「安保闘争」や「大学紛争」の時など、また、極左のグループが爆弾闘争やハイジャックなでで大暴れしたり、世間が大騒ぎになった時には、デモ隊も過激な手段を執ることが多かったので、それに対する鎮圧行動を警察が採ったときもありました。当時を回顧した、元基警察官僚・防衛官僚の佐々淳行氏の述懐を聞いても、警察の方も「命懸け」で、警備に当たっていたことが窺(うかが)えます。
そういう時代は別にして、今は、平和安全保障法制の国会の審議の時などに、それに反対する人達が、国会や首相官邸の付近で、抗議活動をすることが目立っていた位でしょうか。すっかり、日本も「落ち着いてきた」という印象を受けます。
戦後体制においては、警察も、すっかり「民主警察」です。警察法や警察官職務執行法の下での、諸活動です。刑事手続きなども、刑事訴訟法の下で、厳格に執行されています。何か、事案が起きたときに、それらを取り締まる警察などの機関についての行動には、殆ど、大きな問題は無かったと思われます。
問題は、そこにはなくて、やはり「政治」の側の意識と行動です。国家の治安を維持するということは、どういうことかを考えてみなけれえばなりません。
先ず、第1に来るのは、「国防」です。国家を、あらゆる「直接侵略」や「間接侵略」から「防衛」しなければなりません。
第2に。「経済」です。有効な経済政策を打ち出して、経済成長を図り、国民を豊かにして、人々が安心して日々の生活を維持・向上できるようにしなければなりません。
第3に、「教育」です。「愛国心」や「郷土愛」というと、イデオロギー的に「右」のレッテルを貼られてしまうのですが、また、戦後教育では「タブー視」されてきた間がありますが、これらは、どこの国でも努めていることです。これらは、本来、国民の自然な感情の発露です。例えば、野球やサッカーなどの国際スポーツ大会を見れば、明らかでしょう、直接のファンに限らず、殆(ほとん)どの国民が、自国選手の活躍に期待し、熱狂します。日本でも同様です。戦後日本の教育内容は、いわゆる「左」がかった内容が多いのですが、それでも、国民の自然な感情の発露(はつろ)は押さえられないのです。
第4に、違法行為があったときに取り締まる各種警察機関の自制的な行動です。日本の警察は、世界でもかなりの部類のクリーンな機関です。汚職度も極端に低い。警察官から、賄賂(わいろ)を要求されることなど、殆(ほとん)どありません。その取締りについての制約の強さについては、先述したとおりです。こういったことの積み重ねで、警察に対する国民の信頼度はかなり高いです。
第5に、これは東洋思想からの話になりますが、「清規」と「ろう規」ということがあります。前者は表社会の道徳。後者はアウトローの人達の倫理です。アウトローな行為についてもルールといものがあります。前者は多少、動揺しても社会に対する影響は少ないですが、後者が崩れると国家は大変な危機に陥りますね。日本のアウトローの人達には、「お上」意識があります。多少の不満はあっても、「お上」の決めたルールに則って、身を処しています。これは、日本の治安が、世界の中でも有数の部類に入っている大きな理由の一つです。
こういった中で、眼目は。人々が「安全で安心」な市民生活を送れるようにすることです。そのためには、「信なくんば立たず」。論語で高名な孔子の言葉です。
①国民の「為政者」に対する信頼、②経済生活の安定、③軍備の充実。この順番で大事なのです。各界のリーダー達は、このことを心得て任にあたり、国民を始めとするフォロワー達は、厳しい目で、リーダーを評価しなけれななりません。「主権在民」の時代、例えば、政治の分野なら「選挙」があります。それに限らず、いわゆる広い意味での「権力」をチェックする機能は、各界にあります。
そう言った中で、国民は、国家公共の秩序を守って、平穏な、安全・安心な日々を送ることを望む人が大半でしょう。国家の「治安の維持」を図るというのは、そういうことなのです。
これで、今回のシリーズのまとめとさせていただきます。
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