現代の日本社会におけるヤクザ論⑩

query_builder 2024/08/21

こんばんは。

これまで、現代の日本社会におけるヤクザ論として、私の見解を開陳(かいちん)してきました、今回で、区切りの10回目となりますので、今回で、まとめをさせていただきます。

結論としては、「やくざさん」とか、「しろうとさん」とかに、余り、こだわることはないことです。日本の社会、文化としては、日本人は、やくざさんに共感するところが大きいです。

法律上は、暴対法があり、「反社」の動きがありますが、「暴力団」と銘打(めいたれている団体があります。確かに、非合法的な活動をしますし、その場合は警察などの捜査当局に取り締まられますが、それは、一般人についても、同じことです。「法の下の平等」で、ヤクザさん、しろうおとさんに区別無く、その対象となります。現実に両者とも、報道されているだけでも、多くの違法行為をしてます。

「暴力団」がターゲットにされているのは、「組織犯罪」として行われることが多いからでしょう。

「反社」の動きについても、チェックは形式的です。私は、暴力団員ではありません、と答えればしまいです。「反社会勢力」というのなら、ヤクザさんに限らないでしょう。そう認定したい、団体、個人は、暴力団以外にも、いっぱいいませんか。

むしろ、暴力団員だけを「反社会勢力」と認定することで、日本の治安は、急速に悪化しています。暴力団が、「地下」に潜る結果になり、いわゆる犯罪行為は増大し、巧妙化し、凶悪化しています。これは、暴対法の趣旨は理解するにしても、いわば、「米びつ」を封じられた暴力団が、苦しくなって、起きている現象だとおもいます。

昔から、ヤクザさんはいました。伝説上のヒーローになっている人達もいます。「侠客」として、日本社会の中で、受容されてきました。しろうとさんの中でも、別に違和感を感じている人は、あまりいませんでした、中には、「凶悪な」やくざさんもいるでしょう。それは「悪質な」しろうとさんがいるのと同様のことです。

社会秩序を乱すような団体、個人がいれば、警察が取り締まればいいだけの話です。それは、警察の仕事ですから、それでいいでしょう。

とは言え、ヤクザさんを、暴対法で「指定暴力団」と規定したことによって、何となく、ヤクザさんとしろうとさんが、上手い具合に共存していたのが、混迷しています。日本人には、多分に「ヤクザ気質」があると申し上げました。それを排除しようとすることによって、時代に閉塞感(へいそくかん)が生ずるようになってきました。世の中を運営していくにあたって、数々の「汚れ仕事」があります。具体例を挙げるなら、用心棒とか、債権取り立てとか、産業廃棄物処理とか、いろいろあります。

また、ヤクザさんから、博打(ばくち)を取り上げたのは、これはどうだったんでしょうね。さらに言えば、祭りなどでの露天商まで禁止しよとする動きも見受けられます。

確かに、ヤクザさんは「凶悪」なことをする場合もあります。それは、「悪質な」しろうとさんも同じ事です。繰り返しになりますが、そういう場合には、警察が取り締まって、司法の場で、対応すればいいのです。

むしろ、警察は、取締りを重点的にやってくれればいいです。ここで肝心なのは、何故、そのような違法行為が生ずるかです。簡単に言えば、「飯が食えない」からです。飯が食えなくなったら、悪いことをする。そこで、本来ならば、「政治」の出番があるのです。一種の社会政策と言うか、ヤクザさんも、十分な生活ができるようにすればいいのに、今の政治の場は、些末(さまつ)な議論をするばかりで、何も、この根本的要因に気づいていないし、対処もしない。

それは、飯が食えなくなったら、私も、悪いことをするかもしれませんよ。政治の場も、いろいろ多様な課題があって、検討する余裕がないかもしれませんが、治安が悪化すると、善良、普通のしろうとさんが、安全で安定した市民生活を送れなくなります。かつての、深作欣二監督の映画「仁義なき戦い」は、ヤクザさんには好評らしいですが、ヤクザさん同士の抗争です。善良、普通のしろうとさんなら、関係のない話ですが、こういう映画は面白くて、つい見てしまう。それで、何か、溜飲(りゅういん)の下がるところがある。竹内力也主演の映画「なにわ金融道 ミナミの帝王」もそうです。こういう映画も面白い。北野武監督の「アウトレイジ」もそうですね。「極道の妻」シリーズも面白いですね。

何か、日本人には、ヤクザさんに共感するところがあります。もちろん、見てる分にはでしょうけど。現実社会では、こういう修羅場(しゅらば)は避けたいでしょう。それも、当然のことです。

要は、しろうとさんには、ヤクザさんの生き方に、憧(あこが)れるところがあり、また、ヤクザさんいも、しろうとさんの安定した平和な生活を、うらやましがるところがあります。だったら、共存すればいいでしょう。警察の「頂上作戦」でも暴対法でも、ヤクザさんの存在はなくならない。だったら、、政治がリーダーシップを発揮して、ヤクザさんにも、飯が食えるようにすればいいでしょう。すると、犯罪が、がくっと減りますよ。治安状況も改善します。

ヤクザさんの方も、本来の「任侠団体」の誇(ほこ)りを忘れないで、前回も述べましたように、大親分の人達が言っているように、組員に、「あこぎ」なことはさせず、できるでけ「生業」につかせるようにして下さい。

あと、若い者に「闇バイト」をさせるようなことは、需要があるから、提供しているのでしょうが、賛成できません。それこそ、組員の若い者を教育、指導するように、「行儀見習い」からさせたらどうでしょう。

ヤクザさんの方も、しろうとさんの方も、根本的な発想の転換をして、社会の運営を考えればいいのではないですか。両者をむやみに対立させるのではなく、棲(す)み分ければいいのです。何か、世界中、あちこちで、「分断」と「対立」の時代になっています。そういう中での現象かもしれませんが、昔のような、調和のとれた社会を懐かしむ者は、私たちだけでしょうか。そうではないことを望みます。




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