防衛省自衛隊の組織体制についての諸種の問題点②

query_builder 2024/08/27

おはようございます。

今回は、話を進めて行く前提として、防衛省自衛隊についての基本的事項を、おさらいしておきたいと思います。

日本は、憲法第9条の下で、「戦力」の保有が禁じられており、いわゆる「軍隊」は持てません。しかし、日本が武力攻撃を受けるような事態になった場合は、日本は無抵抗でいるわけではなく、日本を防衛するための必要な反撃を行うことができます。これは、「自衛権」の行使であり、日本は必要最小限の「自衛力」を保有することができます。これが、自衛隊です。

歴史的に振り返ると、戦後、旧日本軍が解体され、日本は連合国(GHQ)の占領下にありましたが、その時に、現在の憲法が作られました。いわゆる「戦争放棄」、「戦力不保持」、「交戦権の否認」を定める第9条です。しかし、戦後、朝鮮戦争が起こると、GHQは方針を転換し、警察予備隊を設立し、その後、保安隊を経て、1954年(昭和29年)に、現在の自衛隊の設立に至りました。戦後の米国とソ連の冷戦の始りと、日本を「反共の砦(とりで)」として使いたいとの思惑が、そういう状況を生みました。

防衛省自衛隊と一口に言いますが、「防衛省」と「自衛隊」は別個の概念であり、組織体です。防衛省は、国家行政組織法、防衛省設置法に基づく国の行政機関で、自衛隊の管理運営を主に担当します。自衛隊は、国防を任務とする実力組織で、自衛隊法に基づいて設置されています。防衛省職員は特別職の国家公務員で、防衛省職員と自衛隊員は、ほぼ同等の範疇(はんちゅう)にあります。

自衛隊は、先程、述べましたように、国内法的には軍隊ではありませんが、国際法的には軍隊として扱われるという、特別な位置づけにあります。国内法的には、国家行政組織法上の「特別の機関」として、行政機関の一つです。

防衛省には、内部部局、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部、防衛監察本部、防衛装備庁、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛研究所などの諸機関が設置されています。自衛隊には、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が設置されています。

自衛隊は、憲法に合致するように、造られた存在であり、その任務、行動、装備などには諸種の制約がかけられています。自衛隊員の服務の本旨には、「憲法及び諸法令を遵守する」との一項があります。戦後の長い、憲法解釈の積み重ねの中で、「自衛権」を行使する「自衛力」としての存在と位置づけられています。

自衛隊の行動については、「防衛出動」、「治安出動」、「災害派遣」などが主たるものでしたが、近年、その範囲は、国際貢献の分野を中心にして拡大し、「国際平和協力活動(PKO)」、「海賊対処行動」などが加わりました。また、ミサイル攻撃への対処として、「弾道ミサイル破壊措置」などの権限も付与されました。

自衛隊の活動する事態については、「武力攻撃事態等」、「存立危機事態」、

「重要影響事態」、「国際平和協力事態」などの類型があります。

国防の戦略としては、岸信介内閣の時に、「国防の基本方針」がありましたが、三木武夫内閣の時に、「防衛計画の大綱」を策定し、その後、「国家安全保障戦略」、国家防衛戦力」、「防衛力整備計画」の国家安全保障3文書に代わっています。

基本的に、いわゆる「専守防衛」の下で、自国の領域で戦う戦略です。

そこで重要になって来るのが、日米安全保障条約に基づく「日米安保体制」です。在日米軍が、日米地位協定に基づいて駐留しています。いわば米軍が「戈(ほこ)」の役割、自衛隊が「盾(たて)」の役割を果たします。米国は、日本の施政権下にある領域で日本の防衛の役割を果たします、一方、日本は、米国に米軍基地を提供します。このことにより、「双務性(そうむせい)」を確保しているという立場」です。

自衛隊は、基本的に日本の領域で戦うのですが、日本の侵略を企図している国のミサイル基地などを、攻撃に着手する前に攻撃することは、憲法上、是認しています。昔は「策源地攻撃能力」と言っていましたが、現在は「反撃能力」と言っています。

防衛費は、三木内閣の時に策定された「GDP比1%」の制約を、中曽根康弘内閣の時に撤廃しましたが、事実上、1%の程度に止まっておりました、それを岸田文雄内閣の時に、防衛費倍増の方針に転換し、2%にまで、高めることになりました。

武器輸出につきましては、長らく「武器輸出等3原則」で武器の禁輸状態でしたが、安倍晋三内閣の時に、「防衛装備移転3原則」に転換し、戦闘機などの国際協力開発などができるようになりました。

今後の、本シリーズの展開に当たっての予備知識として、以上のことはご承知起き下されば幸いです。

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