おはようございます。
今回は、防衛省自衛隊の置かれた立場について、言及したいと思います。
国家の公式な実力組織は、「警察」と「軍隊」です。
ドイツの社会学者のマックス・ウェーバーは。「暴力装置」という用語を学問的に使っていますが、あまりイメージが良くないので、私は「実力組織」という言い方をします。
日本には、国内法的に警察はありますが、軍隊は保有していません。これまで述べていたところで、その意味合いは、理解していただいていると思います。「自衛隊」は、国防のための実力組織として、「特殊部隊」のような存在です。
能力的には、諸外国の軍隊に相当する実力を保有しているのですが、法的には、そう捉(とら)えるしかありません。でないと、日本国憲法上、違憲の存在になり、解散しなければなりません。実際、自衛隊は「自衛力」を保有し、「自衛権」を行使する組織体です。諸種の点で、憲法上、問題にならないように造られている組織体なのです。
最近は、諸種の国際的な活動を、PKO、海賊対処、湾岸戦争後の掃海艇派遣、アフガン戦争日の空輸活動、イラク戦争後の人道復興支援活動などをしていますが、これは海外での「武力の行使」に当たらないように、憲法上の範囲内で行ってきました。
自衛隊の行動と、その基盤となる「事態認定」については、小泉純一郎政権の時の有事法制の整備、安倍晋三政権の時に平和安全法制の整備で、整理し、認定してきました。日本では、自衛隊は、警察法的発想で造られていますから、その法律の規定の仕方は、いわゆる「ポジティブ・リスト」方式なのです。何故なら、日本では「軍隊」の保有は、憲法上、認められていないのです。軍隊なら、「ネガティブ・リスト」方式で、行動権限が、定められるものなのです。これは、子供でも、分かる理屈です。それを、大人が理解していない人が、多いのが現状です。
日本人は、「建前」と「本音」を、かなり上手く使い分ける民族です。それが、この種の問題についても、同様な状況です。学問的に言えば、「必要の前には法律は沈黙する」のです。いざという場合には、「超法規的措置」を取ります。
現在では、個別的自衛権のみならず、部分的な集団的自衛権の行使が、認められます。そろそろ、諸種の自衛隊の「運用」の態勢整備については、現行憲法下では、ギリギリのところに来ているでしょうか。人員面を見ても、はっきり、人手不足です。自衛官の法定の定数には、充足(じゅうそく)していません。また、服務面での、かなりの弛緩(しかん)が見られるところは、以前、述べたように、周知なことになっています。
これらは何の原因によるのでしょうか。端的に言えば、自衛隊の憲法上の位置づけが、限界地点に来ていることでしょう。本来なら、憲法第9条を改正して、「戦争放棄」は侵略戦争の放棄ですからいいにしても、「戦力不保持」、「交戦権の否認」の規定は改正すべきでしょう。自衛隊を、国内法的には行政機関とみなして、国防のための「特殊部隊」の位置づけをしているところが、そろそろ、無理な状況になりつつあります。
自由民主党の憲法改正案にしても、この根本的な事項に触れず、ただ、「自衛隊」という「用語」を憲法上に明記しようとするにとどまります。他の政党は、基本的に、そのことにすら「慎重」な姿勢です。
日本においては、憲法改正は、すごぶる困難です。「不磨(ふま)の大典」の意識が強すぎるのですね。ますます、自衛隊の「建前」上の位置づけと、求まられている「本音」の役割の乖離(かいり)が強まるばかりです。
では、どうすればいいのか。よく考えて見る必要がありますね。
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