防衛省自衛隊における組織体制の諸種の問題点⑦

query_builder 2024/09/02

こんにちは。

今回は、防衛省自衛隊の「運営」に関する問題点の一端を、別の視点から見てみましょう。

日本の防衛の戦略の大原則とされているのは、いわゆる「専守防衛(せんしゅぼうえい)」です。

これは、わが国が武力攻撃を受けた時にのみ、日本の領域(領土・領海・領空)のみで、武力行使を伴う反撃を行える、というものです。

これは「平和国家」日本が、軍事大国にならないための「証(あか)し」とされ、自衛隊発足以来、唱えられている戦略です。

これは、先にも申し上げましたが、「日米安保体制」がなければ、成り立たない戦略です。自衛隊が国土防衛に専念するにしても、在日米軍が侵略国への攻撃を行ってくれるからでこその戦略です。

この格好(かっこう)の事例が、現在、進行中の、ロシアとウクライナの戦争です。NATOの直接的な軍事力によると、ロシアとの全面戦争になりかねないことから、NATOは武器供与、資金支援、情報協力などに、関与を止めています。そして、戦争は、もっぱらウクライナの領域のみで行われていました。まさしく「専守防衛」の戦略でした。

それが、最近になって、一部、ウクライナ軍により、ロシア領域内への攻撃が、一定程度で行われるようになり、現在も散発的に行われているようになったのですが、これには、米国の暗黙(あんもく)の了解を得ているものと推察されます。ウクライナのゼレンスキー大統領は、西側諸国に、供与された武器をもって、より本格的なロシア領への攻撃をすることを認めるように要請しています。

被侵略国は、侵略国に対して「専守防衛」でしか戦えないことが、どれだけ不自由なもので、困難なことか、つい最近の、この事例をもってみても明らかでしょう。

もし、日本が単独で国家を防衛するつもりであるとしたら、いかに、「ナンセンス」な戦略か明らかです。ですから、何度も指摘していますが、「日米安保体制」あってこその、現在の日本の防衛戦略なのです。

「机上の空論」までとは言いませんが、そういう前提条件を明らかにして、日本政府は、国民に対して説明すべきだと思います、この「専守防衛」が、あたかも、金科玉条(きんかぎょくじょう)の如く唱えられていることに、私は、違和感(いわかん)を感じていました。

最近、ようやく、策源地(ミサイル基地など)に対する攻撃としての「反撃能力」ということを、明確に保有したいという意向を示し始めましたが、これも、「日米安保体制」あってこその政策転換の一つにすぎません。

これは、先にも述べましたように、日本は、「自衛権」の発動をできますが、そのための「自衛力」は必要最小限の範囲でしか保有できす、日本の防衛政策には、種々の大きな縛りが、幾重にも課されているからです。

即ち、自衛隊は、国内法上、「軍隊」ではあってはならないという、大きな「建前」がありますので、その範囲内の能力しか持ち得ず、また、行動できないのです。

この度の、ウクライナ戦争は、世界史に名を刻む戦争の一つになるでしょうが、現在の国際社会においても、これだけ、おおっぴらな「侵略戦争」が行われるのだということと、先述の理由などにより、ウクライナ軍は「専守防衛」の戦闘しかできなかったということ、そして、それが、どんなに困難な闘いであることかということが明確になったことは、画期的なことでした。

言ってしまえば、「建前」としての「専守防衛」を、今も、現実社会において、唱え続けている日本政府と、それを如何ともしない、「政治」の有り様とは、いかなるものでしょうか。

こういう視点に改めて立っていただけると、憲法の改正の議論に、おためごかしではなくて、つなり、憲法に「自衛隊」という用語を入れたら良いという、改正内容しか示さない姿勢ではいけないということが、分かっていただけるのではないでしょうか。中途半端なことをしていると、今後に禍根(かこん)を残し、さらに、混迷(こんめい)の度合いが広がることになるという懸念を、私は有しています。

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