防衛省自衛隊における組織体制についての諸問題⑩

query_builder 2024/09/06

おはようございます。

今回のシリーズも10回目を迎えましたので。今回のまとめをしたいと思います。

防衛省自衛隊が置かれている「建前」の位置づけと、「本音」の任務役割の乖離(かいり)が大きいことが分かっていただけたのではないかと思います。

自衛隊という「実力組織」の統制が、日本の独特の「文民統制」で行われていることも理解していただけたと思います。

憲法改正が極めて困難な「政治」の状況の下で、防衛省自衛隊の組織体制が「限界値」に近づいていることも、認識していただけたと思います。

防衛省職員、自衛隊員だけが、「戦争」が起きた場合、「戦場」に行くわけではありません。弾道ミサイル、戦術ミサイル、無人機、ドローンなどの急速な発展により、日本全域が、「戦場」になります。先の大戦の「本土空襲」に似た状況が、いとも簡単に再現されます。

また、想定される超大規模な自然災害は、国土に壊滅的な打撃を与えます。日本のGDPの相当の部分が、被害を被(こうむ)るでしょう。

ここ数年、噴出(ふんしゅつ)している防衛省自衛隊の「スキャンダル」は、おそらく、前述の「建前」と「本音」の乖離状況が生み出したものが、ここにきて露見(ろけん)し始めたものとも言えます。

ですから、先ずは、「現実」を知ることから、始めなければなりません。この世界は、バーチャル・リアリティ(仮想現実)ではないのです。物事には「表」もあれば、「裏」もあります。人間にも国家にも、「善」と「悪」の両面があります。「政府」の行う施策にも、「正」と「不正」があります。

人間の織りなす社会ですから、この世から「犯罪」は無くなりませんし、「戦争」もなくなりません。一つの道は、「正しい者が強くなるか、強い者が正しくなる」ことです。単純な道徳論で言っているのでは、ありません。「無秩序」は、安全で安心な生活を脅かします。「謝って何でもすめば、お巡(まわ)りさんはいらない」のです。そんな危険な社会では、とても住めたものではありません。

国防についても同じことです。国際社会では、勢力均衡(せいりょくきんこう)、即ち、バランス オブ パワーが大事です。侵略国の侵略を防ぐには、「抑止」と「対処」の両面が必要です。その裏付けとなる「軍事力」は、国家にとって必要不可欠なものです。「武」とはs「戈(ほこ)」を「止める」と書きます。日本古来の「武士道」も同じことです。「武道」も心身の錬磨(れんま)をするとともに、本来は、「護身術」です。個人の安全を守るのも、国家の独立を守るのも、同様です。どんな社会、集団、組織にも、「ルール」があります。動物的に言えば、「掟(おきて)」があります。「掟破(やぶ)り」には、制裁が科されます。国内の秩序は、「法の支配」が守ってくれます。しかし、国際社会では、中央権力のない「無政府状態」(アナーキー)なので、「力」(パワー)を備えておかなければなりません。

力には、ハードパワー(軍事力、警察力など)とソフトパワー(経済力、文化力など)があります。戦後の日本社会は、前者より後者を優先してきました。そこが、現状、日本周辺も、危ない状況になってきています。「戦争」にせよ、「自然災害」にせよ、未曾有(みぞう)の危機が生ずる可能性があります。危機には、危機管理(クライシス・マネージメント)が必要です。平和は基本であるべきですが、思わぬ危機は、大なり小なり、いつ、身の周りに起きるか分かりません。

一人一人が、十分、注意するのは当然ですが、国防と治安維持には、特別の措置が必要です。そこに、政府と自治体と民間の共通認識と協働が必要です。例えば、犯罪の抑止と対処には、今や、防犯カメラを始めとする技術は欠かせません。侵略の抑止と対処には、何が必要でしょうか。現在の日本人に欠けているのは、現実世界の認識です。平和を守るためには、「力」が不可欠です。その「力」が「正しい」ものであってこそ、安全で安心な日常生活を送れます。「正しい」と言っているのは、それぞれの社会での「掟」、「ルール」を守ることです。「混沌(こんとん)」、ケーオスには、現実社会では、未来が見えません。

以前にも、別のシリーズで言及しましたように、「清規(せいき)」と「陋規(ろうき)」の違いがあります。インローの世界に生きるのか、アウトローの世界に生きるのかで、生き方の別があります。基本的な、法秩序は、守られるべきですが、取締りは、警察などの司法当局に任せておけばいい話です。それは国内のこと。

国際社会では、軍事力で、抑止と対処を図らなければいけないのです。

現在の場合、「集団安全保障」は機能していません。「自衛権」の行使で対応するしかないのです。自衛権には、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」があります。

日本の現憲法の政府見解では、大きな縛(しば)りがかけられています。「建前」では、後者は、部分的解禁ですが、「本音」では、少々、なし崩(くす)し的に、国際的な防衛協力が進展しています。ここが、日本人の「建前」と「本音」の使い分けの上手いところですが、解釈改憲で、することの危うさがあります。

本来なら、憲法改正で対処すべきところ、現実は、「本音」ベースで事態は進展しています。いずれにせよ、防衛省自衛隊のあり方を左右するのは、国際環境と日本国民の意識の両方です。先ずは、「現実」を見ましょう。それから、「問題点」と「対応策」を考えましょう。そして、いずれは、「理想」に向かうことを期して、日本独自の「努力」を積み重ねていきましょう。

国家の「独立」と「安全」を守るのは、国民の「意識」なのです。自国を防衛する意識のないところに、国防は成り立ちません。自衛隊だけで、在日米軍の力を借りるにせよ、国防はできません。皆さんは、日本が侵略されたときに、武器を持って戦いますか。それは、問われるべきことでしょう。とても危うい状況だということは、世論調査などの結果からでは明らかです。

というところで、今回のシリーズのまとめにしたいと思います。

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