衆議院総選挙の情勢について⑨

query_builder 2024/10/31

おはようございます。

今回は、「政権の枠組み」の見通しについて、言及します。

総選挙の結果が出た後、「政局」は、動いています。現在、焦点になっているのは、国民民主党の動向ですが、どうも、「部分連合(パーシャル連合)」の方向性が出てきています。自由民主党と公明党の連立政権に閣内協力することはせず、立憲民主党とも距離を置き、政策ごとの賛否で、政権への影響力を保つということです。自公政権は、少数与党になるわけですから、予算や法律を国会で通すためには、どこかの党に賛成してもらわないといけません。政権が、現在、重視しているのは国民民主党との協力関係です。

国民民主党の玉城祐一郎代表は、最近、「政策重視」ということを、強調しています。ポストではなく、自身の党が、公約した政策が実現すればいい、という意向です。そのためには、部分連合が、最もいいわけです。政権入りすると、自公に「飲み込まれる」可能性があります。閣外でいて、できるだけ、自党の「価値」を高めるという「戦略」です。

自民と立民が、「大連立」を組むという、一見、「奇策」とも見える方向性もありますが、今の政界に、そういう「大仕掛け」ができる政治家(議員)がいるかというと、ちょっと、心許(こころもと)ないところです。例えば、立民の野田佳彦代表を首班(しゅはん)に担(かつ)いで、「既定だったはずの」増税路線を選択するという自公の方策もあり得るのですが、これは、前回述べた「民意」に反するので、やりにくい。すると、この方向性の可能性は小さくなります。何しろ、来年には参議院選挙や、東京都議会選挙があるのですから、あまりに露骨(ろこつ)なことをすると、更に、有権者の反発を食(く)らいます。すると、自公も立民もこの選択肢には躊躇(ちゅうちょ)する。

とすると、玉木代表を首班に担いで、自公が連立政権を組むことは、どうでしょうか。玉木代表としては、政策重視を標榜(ひょうぼう)しているのですから、総理ポストを提供されたら、受けるでしょう。この場合は、増税路線は取れません。しかし、この「大仕掛け」もやれる政治家は、また、いるかどうかには疑問符(ぎもんふ)がつきます。

それであれば、先述したように、自公の少数与党の政権で、部分連合を志向(しこう)する国民の、ケースバイケースの協力を得ながら、政権の運営をしていくというところが、落ち着きどころでしょうか。

日本維新の会は、どう動くかについては、国民と、同様のスタンスを取りそうです。国民の協力が得られない時は、維新の協力を自公政権は、取ってきます。すると維新にとっても、部分連合が、都合(つごう)がいいわけです。国民にしろ、維新にしろ、現在、キャスティングボートを握っている立場にあるわけですが、下手(へた)に動くと、来年の選挙で、「しっぺ返し」を有権者から食らうことになります。

このような中では、国民にしろ、維新にしろ、自党の価値を高めるためには、自公政権と距離を置きながら、「政策ごと」に、協力姿勢を示していくのが、最も望ましい選択肢だと思われます。

ということで、自公内でも、今回の過半数割れは、多分(たぶん)に折り込み済みのところがありますので、石破茂首相降ろしの動きは、現時点では、起こらないでしょう。ただ、実際、新政権が、石破首相の下で動くにせよ、政権運営が行き詰まれば、来年の選挙が戦えないということで、首相交代の機運(きうん)になることが、起こり得ます。

このような観点から、当面の「政局」の動きは、見ていたらいいのではないでしょうか。大事なのは、選挙で示された「民意」を、各政党が、いかに重視していくかということです。少なくとも、「増税路線」は止めましょう。自公の過半数割れの中で、政局は不安定化するかもしれませんが、国民にしろ、維新にしろ、無謀(むぼう)なことはしなしでしょうし、できないでしょう。「選挙」で、「民意」が動くことが、はっきりした現段階で、長らく1強支配を続けてきた自公も含めて、某有力官庁の思惑(おもわく)だけを聞いていたのでは、いけませんよというのが、教訓になるでしょう。

これは、現下(げんか)の経済情勢において、どういう財政政策を取るべきかを含めた、大きな経済政策をどうするかの議論になります。現時点で、増税などの国民負担率のアップの政策を採っていたら、それこそ、「失われた40年、50年」になるかもしれません。経済力の回復と再成長あってこその「財政再建」なのでしょう。ここで、「緊縮財政」派と「積極財政」派が、大いに議論を戦わせて、どの方向性が正しいのかを、虚心(きょしん)に立って、判断すればいいのです。増税をしたい、あるいは必要があるのなら、日本経済が再成長の軌道(きどう)に乗って、十分な経済力に回復してから、行えばいいのです。そのためには、思い切った財政政策を採ることが求められるでしょう。「短兵(たんぺい)、急(きゅう)を急ぐ」から、某有力官庁は、政治をミスリードするのです。

国債の急激な増加を、いわゆる「財政赤字」と捉え、そのため増税を考える。気持ちは分からないでもないのですが、現時点では、「財政赤字」が必要なのです。「政府の赤字」は「国民の黒字」になります。ともかく「有効需要の回復」が急務なのです。民間投資の低迷、消費支出の低迷の中で、政府支出を増加させて、需要の喚起策(かんきさく)を思い切って行う。そして、日本経済を再び、成長軌道に乗せる。そして、十分な経済力が回復してから、増税を含めた「財政再建」政策を採る。それが、全(まっと)うな方向性でしょう。

今の、当面の「政局」は、多少の不安定さは生じるかもしれませんが、現時点での「増税路線」をストップさせるためには、絶好(ぜっこう)の機会になりました。これを、経済成長から財政再建に向かう路線に変えることが必要です。某有力官庁の猛省(もうせい)を望みたいところです。そのために、政治家(議員)の諸氏も頑張られて下さい。そのためには、「政局」も、いい方向に進むのであれば、望ましいことです。

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