こんばんは。
かの、カール・マルクスはドイツ系の人ですが、彼が、大英博物館の書籍室に籠(こ)もって書いたとされる『資本論』は19世紀以降の国際社会に大きな影響を与えました。マルクスと、マルクスを支援した、その友人、フリードリッヒ・エンゲルスが掲げた思想は、「マルクス・エンゲルス主義」と呼ばれます。いわゆる「共産主義」です。「世界には『共産主義』と呼ばれる妖怪(ようかい)が徘徊(はいかい)している」と呼ばれ、世界史の中でも、大きく特筆(とくひつ)されます。
当時の世界の「権力者」と呼ばれる人達は、この思想を恐れました。「労働者は資本家に搾取(さくしゅ)さえている」と説き、「万国(ばんこく)の労働者よ団結せよ」と唱え、資本家(ブルジョアジー)を労働者(プロレタリアート)が打倒(だとう)すべし、と主張するその「革命思想」は、先ず、ロシア帝国の打倒から実現しました。これを行ったのが、レーニンです。ソビエト連邦の誕生です。これ以降、「マルクス・レーニン主義」とも呼ばれます。世界の権力者は、この思想が自国に普及してくるのを、極度に恐れ、国内では、その思想に染まったものは、「弾圧」の対象になりました。
レーニンの死後、ソ連の権力を継承したのが、スターリンです。スターリンは、そのライバルであったトロツキーの「世界同時革命論」に対して、「一国社会主義」の立場をとり、先ず、自国の体制固めを図りました。世界の諸国は、「シベリア出兵」を行うなどして、ソ連に介入しようとしましたが、失敗します。一方、スターリンは、その地位を確立した後、コミンテルン(国際共産主義運動)を組織し、徐々に、その「革命」の輪を広げようとしました。第2次世界大戦で、当初はヒトラーが率いるドイツ(第三帝国)と結(むす)んでいましたが、後、ドイツがソ連に軍事攻撃を始めたのです、それが、ヒトラーの敗因でした。スターリンは、ドイツと同盟を結んでいた大日本帝国に対して各種の工作を行うことにより、日本を対米戦争に誘(いざな)いました。また、ソ連は、米国にも各種の工作を行い、当時のルーズベルト政権には、ソ連のスパイが、数多くおり、日本に対して強硬な姿勢をとらせ、日米開戦に向けて、誘導していったわけです。
そして、第2次世界大戦後は、米国とソ連の「冷戦」が始り、世界は、2極構造になりました。日本は、連合国の、実質は米国の占領を受け、そこでの占領政策にとり、実質的な「敗戦革命」が行われ、現代における「戦後日本社会」ができあがったわけです。
隣国の中国は毛沢東が率いる中華人民共和国となり、朝鮮半島北部は、金日成率いる朝鮮民主主義人民共和国が成立し、また、東ヨーロッパは、親ソ連の社会主義国で固められ、世界は、米国圏とソ連圏に二分されたわけです。これに対して、第三世界は、「非同盟運動」を取りましたが、世界のキープレーヤーが、米国とソ連の二大大国であることには、変わりありません。この中での、やがて、ソ連と中国は後に対立することになります。これが、大戦後、しばらくの状況です。
このように、19世紀の世界に大きな影響を及ぼした「共産主義思想」は、労働者が支配する社会(プロレタリアート独裁)であり、そのためには少数精鋭の前衛活動家(ボルシェベキ)が革命を主導し、そこに権力を集中する(民主集中制)を取ります。
その結果は、どうだったでしょう。長い米ソ冷戦を経て、ソ連にゴルバチョフが登場し、改革(ペレストロイカ)を開始しました。一方の米国は、レーガン大統領の時代です。両者の提携により、米ソ冷戦は終結します。ソ連邦は、事実上、崩壊し、共産主義国は、一部の例外を除いてなくなり、米国圏の「西側諸国」では、「歴史の終わり」(フランシス・フクヤマ氏の概念)ということが喧伝(けんでん)されました。世界は、自由民主主義の世界になるというのです。
これ、また、結果はどうだったでしょうか。米ソ二極構造で抑え込まれていた世界の諸国では、その軛(くびき)が取れたといいますか、民族・宗教紛争が一斉(いっせい)に蜂起(ほうき)しました。米国同時多発テロ事件を起因とする「対テロ戦争」も始まりました。中国が、急速な経済成長を遂げ、米国と並ぶ一大強国に成長しました。米中の「覇権国争い」の始りです。ソ連は、ロシア共和国になりましたが、その体質は、あまり変わっていません。中国、ロシア、北朝鮮などの体制は、「共産主義体制」に変わって、「権威主義体制」になったと、現代風には言われます。
「歴史」は終わりません。何かの弾(はず)みで、核兵器使用を伴う「終末戦争」が起これば別ですが、次から次へと、「協調」と「対決」の時代が繰り返されます。今は、「対決」の時代ですね。世界各地で、武力の行使を伴う「戦争」が頻発しています。そして、それもいつかは和(やわ)らぎ、そうかと思っていたら、また、対立が始り、というのが、本当の人類の「歴史」です。「世に争いの種(「たね)」は尽きず。映画「スターウォーズ」やドラマ「スタートレック」で描かれている宇宙時代がくるまでは、人類は、この地球上で、「睨(にら)み合い」ながら、生きていくのでしょう。「終末戦争」や、「超大規模な自然災害」が起こらなかったらの話しですが。
このマルクス主義の登場以来の人類史を踏まえて、マルクスの描いた「思想」と関連づけた話しを、次回以降していきます、現代の日本社会における、新「資本論」の話しです。
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